現高校1年生以下の生徒は、センター試験がなくなり「大学入学共通テスト」(新テスト)に移行する予定です。
実際に、モデル問題が発表されたりプレテストが実施されたりしています。
これらの問題は、ウェブ上に公開されているので、誰でも気軽に解いてみることが可能です。
今回は、中学2年生と3年生に2018年度のセンター試験とプレテストの現代文(小説)に挑戦し、今後の入試の変化について予測してもらいました。
プレテストで出題されたのは、光原百合の「ツバメたち」です。オスカーワイルドの「幸福な王子」のオマージュで、複数のテクスト(情報)を読み比べ「多面的・多角的に精査し構造化する」(学習指導要領より)という、新テストの特徴が表れた問題です。
麻布の国語教員から日大の教授になられた紅野謙介先生が「国語教育の危機―大学入学共通テストと新学習指導要領」というちくま新書をこの秋に出版されました。先日熊本の大手書店に行った際、平積みになっていました。
紅野先生は、プレテストが理念に合致していないのではないかという危機感を抱いていらっしゃるわけですが、私は、これまでのセンター試験とは異なる方向性を示し、チャレンジしている点がいいと思っています。難易度などは今後調整されていくことでしょう。
紅野先生が「プレテスト全体のなかでも最も興味深い設問」とおっしゃっている問3など、生徒たちがこれまで解いたことがないだろうと思われる傾向の問題が豊富で、かつ中学生にも挑戦できる語彙レベルです。
とはいえ、実際に解いてみると、あらすじを把握できなかった生徒もいれば多くの問いに正解した生徒もいました。
また、従来型の心情などを丁寧に追っていく問題よりも、新テストの文と文の関係などを見抜いたり、表現の手法を問うタイプの問題の方が簡単と感じられる生徒もいました。
少なくとも、センター試験とは異なる方向性を示し、チャレンジしている大学入試センターの意気込みは全生徒に伝わったようです。
将来はますますグローバル化が進み、 個人では力の及ばない、 正解の用意されてない課題に取り組まなければならない。
そのような課題を解決していくためのコミュニケーション力の素地があるかどうかを文章読解を通して見ていくのだ。
という結論にこの日は至りました。
この記事へのコメントはありません。