あるところで、「子どもを本好きに育てれば、子育ては半分成功」という記述を目にしました。
「読書を通じて知識を増やすことができるから、子どもを本好きにすべきだ」というのは一般的な見解かもしれません。また、東ロボくんの新井紀子先生が指摘されて話題になったように、教科書を理解するための基本的な読解力に欠けた生徒の存在が心配される昨今、この読解力を養成するために読書が一役かうのでは?という期待もできるかもしれません。
さてさて。
学力の高い生徒に読書家が多いのも事実でしょう。一方で、ほとんど読書をしない難関校合格者もたくさんいます。
ですから、「『学力』の経済学」の中室牧子先生が指摘されているとおり、読書をしているから子どもの学力が高い(因果関係がある)のか、学力の高い子が読書をしている(相関関係がある)のか、見極める必要があります。
文部科学省の2011年の調査によると、「児童生徒の読書活動は、教科の学力に影響を及ぼす」「読書好きの児童生徒ほど教科の学力が高い」という結果が出ています。また、前述の中室先生のエッセイで紹介されている、テキサス大学の調査によると「読書は子どもの国語の成績を上げる因果効果をもつ」ものの「算数や理科など、他の教科の標準テストには影響しなかった」ということです。
つまり、全ての教科とはいえないかもしれませんが、読書と学力には因果関係があるようです。
ですから、学力向上のために読書に力を入れることは正しいといえます。
更に、今回紹介した文科省の調査報告には、興味深いことが書かれています。「学習活動を介した間接的な影響も大きいことが確認された」という部分です。例えば、図書館利用頻度の高い児童生徒はそれだけを見ると必ずしも教科の学力は高くないものの、学校図書館に学校司書等がいる場合には利用頻度が高いほど教科の学力が高いのだそうです。
つまり、読書自体というより、読書を通じた活動に学力へのプラスの効果が期待できるというわけです。
お通いのご家族には、ぜひ、親子で読み聞かせを楽しんだり、親子で同じ本を読んで感想を言い合ったりしていただきたいと思います。
そして、クランポンスクールの教科横断的プログラムでは、それ以上の(ちょっと手間のかかる)「読書を通じた活動」に力を入れていきたいと考えています。
文科省ホームページより「読書活動と学力・学習状況調査の関係に関する調査研究」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/045/shiryo/attach/1302195.htm
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